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月次決算とは
月次決算は、経営上有用な情報を提供するために、毎月行われる月単位の経営成績や財政状態を明らかにする(月次の)決算のことです。管理会計の領域にあります。まず、日々の会計処理により、毎月試算表が作成されます。今日は書籍を購入したので図書費、接待をしたので交際費、電気代や水道代を支払い光熱費、給与の支給で人件費、安いパソコンは消耗品、出張に行き交通費等々、現金で払ったり、未払いや掛けだったり、会計上、支払いの形態や処理は多様です。これら日々の取引が集計された計算書が試算表なのです。
ここで試算表とは、決算書類を作成する前段階のデータをいいます。試算表は、T/B(Trial Balance)といいます。なんとなく試しにつくりました、といったニュアンスですよね。試算表は、貸借対照表と損益計算書が合算した形になっています。
まだ説明していませんが、複式簿記の仕組みでは、年度でいえば貸借対照表の当期利益=損益計算書の利益になるようになっているので、試算表は、資産+費用=負債+資本+収益というかたちになってます。貸借対照表の構造、資産=負債+新資本(旧資本+利益)と、損益計算書の構造、利益+費用=収益を合算すると、資産+利益+費用=負債+旧資本+利益+収益となります。
利益を両方から消すと(相殺すると)資産+費用=負債+旧資本+収益となるのです。旧資本は期首の資本であり、一年かけて経営した結果利益が生まれ、シンプルにいえば、貸借対照表上では、その利益は資本金に積上げられることになっているのです。期首の貸借対照表の旧資本金に、損益計算書で表示された一年間の経営により得られた利益(収益―費用)を積み上げ、期末の新資本金が計算されるという仕組みです。
この考え方については、少し難しいかもしれないので、どこかでまた説明しますね。ということで、試算表を分割して、月次の貸借対照表と損益計算書を作成することで、月次決算が行われます。一年間経過してはじめて、会社の財政状態や経営成績の情報を得たのでは、計画通りに経営ができているのかが分かりません。
なので、毎月試算表を作成し、月次での情報を得ながら、うむふむ、予定通りだな、とか、全然うまくいっていないじゃないか、のような判断を行います。うまくいっていればうまくいった通りに翌月も行動すれば、うまくいくのを継続できるし、うまくいっていないのであれば原因分析し、対策を立てPDCA(計画→行動→チェック→修正行動)サイクルを回せば、翌月から失敗することが少なくなります。
月末を過ぎたら、月次決算は迅速、かつ正確に行う必要があります。多くの組織で、それを怠り、計算し易い収益のみみて判断する活動をしているケースが見受けられます。
収益すら正確に掴んでいない、大まかに把握しているだけ、勘に頼っている、といったことでは、利益やキャッシュのながれが分らず、後に大きなミスを犯すことになります。
月次決算はとても大切です。利益を上げるモデルをつくったのちにはできるだけ早期に仕組みをつくり月次決算を迅速、正確に行えるよう取り組むことが経営管理のスタートです。
予算実績管理においても、いくら予算を編成(予算を立てる)しても実績が分らなければ統制もとれません(管理もできません)。現場での処理、組織の協力、会計の仕組み、個人の能力向上、IOTやAI等の活用が解決策になります。月次決算を活用し、会社経営の科学的(体系的、継続的)管理を行う必要があります。
月次決算の迅速化
会計情報、その背景にある組織運営の情報を掌握し、外部情報と併せて的確な判断を行い、柔軟に活動できる環境づくりを行うための月次決算について説明しました。
なお、翌月15日には月次決算を行い、分析検討を1日から2日で行い、修正行動を行うことが標準としたいですが多くの場合は1ヶ月、2ヶ月経って月次が終る、といったことになっています。欲をいえば10日に月次決算を終わらせるようにできると、判断を早く行えるので業績はうなぎのぼりです。
月次決算の、大まかな意義を理解し、月次で業績を把握する。そして、振り返る、計画との乖離を意識する、原因を分析する、行動するというながれができるよう取り組む必要があります。
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