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中計立案のポイント

3年から5年間で何を行うのかを明確にした計画を中期経営計画といいます。通常3年を中期とする計画が多いので、ここでは3年計画を中期経営計画とします。意識の高い、明確なビジョンと戦略をもつ企業は、中期経営計画を立案しています。何かを成し遂げようとしても、1年ではできないことが数多くあるからです。

なので、3年以内には必ずここに到達する。そのためには1年目には××、2年目には××、3年目には××を行うといった計画を立てることが一般的です。3年あれば多くのことができる。だから3年の間に何を成し遂げるのかを徹底して議論し、計画化し、実行することが組織勝ち残りのポイントです。中期経営計画は、予想損益計算書の形で作成し、貸借対照表の計画はつくらないことが多いです。

 中期経営計画を立案するためには、ミッションを明確にします。そこから何をすべきかのビジョン、そしてビジョンを到達点としたときの、現状分析を行います。到達点と現状との乖離を発見し、乖離を埋めるために何をすべきかの解決策=内外戦略を立てます。解決策を検討し、3年の計画を立案します。なお、先に現状分析をしておかなければ、到達点をどこにするのかの根拠が曖昧になります。

 少なくとも、現状保有する経営資源について、何が強く(Strengths)、何が弱く(Weaknesses)、そして事業を推進するときに考慮する機会(Opportunities)や脅威(Threats)を分析していきます。これをSWOT分析といいます。強みや弱みは、内部の経営資源を、機会や脅威は環境を対象とします。SWOT分析はマネジメント領域の話ですが、どこかで説明しますね。

内外環境を分析し、上記を行ったのち、ミッションやビジョンとの乖離が見えてきます。そのうえで乖離を埋めるとして中期経営計画立案のプロセスに入ります。

さて、3年間かければ、たいていのことは成し遂げられると考えて、中期経営計画を立案するときには、

(1)既存事業を維持するための計画

(2)既存事業拡大のための計画

(3)新規事業のための計画

の3つを意識する必要があると、私は考えています。

順番を間違えてもだめですし、一つでも欠けてはダメです。これらを意識して計画していかなければなりません。現事業を阻害する多くの障害をどのように排除するのか、また拡大を阻害する壁は何かを考えます。

さらに、既存市場だけではなく新市場、異なるドメイン(事業領域)の新規事業についても議論します。慎重な判断が求められ、簡単には結論が出ないこともありますが、ワクワクしますね。

もちろん、この3年は内部体制をかためるために、維持だけ、という戦略もあるでしょう。

でも、維持するだけというのは困難です。攻めなければ力をつけた競合が次々に出てくるので、維持はできません。現場を維持するためには常に前進し、始めて現状を維持出来る。留まれば押されて維持できないと私は考えています。

ローリングとは

なお、中期経営計画の初年度から計画通りに行動できなかったり、劇的な環境変化が起こり初年度から大きく実効性が棄損することがあります。1年目に計画を達成できないと2何目のスタートで大きな負荷を負ってスタートしなければなりません。3年目にはさらに計画と実績の差が開くと言ったことが起こってしまうのです。残念ながら実務ではこんなパターンが多いですね。

したがって1年経過後に見直しを行い、修正を加えることがあります。これをローリングといいます。1年経過したらまた3年分、再度1年経過したらまた3年分、のように常に中期経営計画が連続的につくられることは、前向きな事業拡大を行うときには有効です。

ただ、これでは当初の中期経営計画よりも小さなものになる傾向があるし、そもそも3年で未来をくぎり、3年で何かを成し遂げようという方向での中期経営計画を使えなくなります。毎年の環境変化を考慮して計画を見直し,必要な改訂を行なう方法は、いったん計画した中期経営計画を変更するので、前述のように計画達成の実効性は高まりますが,ここまで必ず達成しようという努力目標としての役割は果たせなくなる、といわれています。

(余談ですが、学者の中には中期経営計画の3年は10年先を見ての3年の計画にする必要があり、10年先を見ていない企業が多いので日本をダメにしている、という意見があります。中期経営計画の前に10年後の世界や日本をどうしていくのかを考えろ、と言うことですが現場にいるとすごいスピードで行われるイノベーションをすべて予測するのは困難だと思います。都度数年先を観ながら柔軟に対応することの方が現実的ですね。ただ思いを持ち、10年の間に絶対にこんな世界をつくるという信念を持って行動することには意味があると思います)。

確かに、当初決めた3年間は維持し、手段や方法のみのローリングを行うことのほうが、けじめがつくと私は考えます。何れにしても、当初立案した中期経営経計画を固定的に考えると、ケースによっては毎年の乖離が大きくなることや達成感を得られません。1年目にできなかったから2年目に多めに目標を乗せて走るといったことは、戒められる必要があります。 計画は絶対に達成する意気込みをもと、行動するとともに、環境変化で当初の計画が達成できない、予想できなかった出来事があったとしても踏みとどまり、何とか毎年計画を見直し実効性があがるように対応することが良いですね。

 毎年の見直し時に当初計画した中期経営計画を意識した計画とし、大きな到達点は変えず、行動計画や内容の見直しを図るという見直しにしておけば、当初の中期経営計画の機能は低下しません。本来は決めたことを毎年着実に実行し、ローリングをせず、3年計画を予定通り達成するということが最も優れた方法ですが、少なくとも毎年見直しを行い、計画を修正しながら、初期の中期経営計画を実現可能な中期経営計画として活用するために、毎年ローリングを行うと良いですね。

ということで、解決策や目標の組み合わせや戦略変更しながらも、当初の中期経営計画を念頭においての行動を行えるよう、中期経営計画のローリングを行うことが可能だし有効です。

PDCAによる実行

さて、くどくど書きましたが、事業計画書の記事で書いたように、中期経営計画の1年分は年度経営計画(事業計画)に落とし込まれます。戦略が事業計画書に落とし込まれ、PDCAサイクルに乗せて管理されます。PDCAはPlan(計画)Do(実行) Check(評価)Act(修正)の4 段階を繰り返しながら計画を達成していく考え方です。

戦略が決定され事業計画書に落とされ、具体的なレベルで行動が計画され、一定の管理のなかでで実行されていく。行なわれるべきマネジメントの基本です。組織における予算実績管理の仕組みに乗せられ、毎月の検証を行いながら、PDCAサイクルを毎月回すという活動が行われることになります。

ここで中期経営計画→事業計画→利益計画+行動計画(Action plan これが一番大切です。Action planだけの記事書きますね)→目標管理→PDCAを個人でも行えるようになることが実務における会計の望みです。

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